花粉症専門のクリニックで、舌下免疫治療(舌下減感作治療ともいう)が保険適用になり、治療を希望する人が多くなっています。
舌下免疫治療はどんな人ができて、どんな人はできないのでしょうか?
また舌下免疫治療の副作用やデメリット、時期や費用、そして実際に舌下免疫治療をした人の口コミなど、気になりますよね。
今回は、花粉症の舌下免疫治療についてまとめました。
舌下免疫療法とは
花粉症の舌下免疫治療(舌下免疫療法)ができるクリニックは、全国でも少ないです。
これは、舌下免疫治療をする医師は、あらかじめ講習を受ける義務があるため、大きな病院でも講習を受けていない医師は専門の薬(シダトレン)処方ができないためです。
舌下免疫治療は、シダトレンというスギ花粉を抽出した薬を、少しずつ濃度を上げながら舌に投与して、それに対する抵抗力をつけて、あなたの体質を改善する治療方法です。別名で舌下減感作治療とも言われることがあります。
舌下免疫治療が保険適用になったのは2014年からです。2017年時点では、この免疫治療が花粉症を根本的に治す唯一の治療方法されています。
この治療は、長い期間かけて少しずつ良くする治療で2~5年ぐらいの治療期間が必要と言われています。また3年目以降で効果が高くなるという報告があります。
この舌下免疫治療は、鼻だけではなく、眼にも効果があります。日本国内で保険適応となっているのは今のところスギ花粉のみであり、スギ以外のアレルギーには効果がありません。
舌下免疫治療と皮下免疫治療のちがい
舌下免疫治療以外にも、皮下免疫治療という治療があります。
皮下免疫治療は、皮下に注射する治療方法で、注射ですから毎回病院に行く必要があります。
舌下免疫治療は、舌下に毎日治療薬(シダトレン)を投与する治療方法で、ある程度、自宅でできます。
つまり、注射で薬を投与するか、口から投与するか、のちがいです。
舌下免疫治療の効果
舌下免疫治療で根本的に花粉症が完治する確率は20%前後と言われています。
ただ症状が和らいだり、効果があったという人は80%以上いますので、まったく効果がないというわけではありません。
ただ、全員に絶対に効果が保証されているわけではありませんので、注意してください。
舌下免疫治療ができる人
花粉症の舌下免疫治療は、以下のような人におすすめです。
- スギ抗体陽性データが出ている人
- 毎日、舌下投与する根気がある人
- 毎月、クリニックで診てもらうことができる人(治療薬は決まった量しかもらえないため)
- 症状がつらくて全く仕事にならないビジネスマン
- 花粉症の薬の服用を減らしたい人
- 花粉症の薬の効果が得られにくい人
- 花粉症がひどい受験生(若い人)
このような人は、舌下免疫治療で効果が期待できます。
舌下免疫治療ができない人
逆に、舌下免疫治療ができない人は、
- スギの花粉症が検査で証明できない人
- スギ花粉以外の花粉アレルギーを治療したい人
- 妊娠中の人
- 妊活中、もしくは妊娠希望の人
- ガン治療をしている人
- 免疫関連の病気の人
- 治療で免疫抑制剤を使用している人
- 口の中にアレルギーがある人
- 高血圧の人
- 1月~5月に治療を開始したい人(クリニックが取り合ってくれない)
- 65歳以上の人(高齢の方の前例があまりない)
となっています。また子供でも舌下免疫治療は可能ですが、2017年時点では、12歳以下は保険適用外となります。
花粉症を根本的に治したいという人、またはスギ花粉に悩まされていて症状をやわらげたいという人は、一度検討する価値はありそうです。
舌下免疫治療の手順
舌下免疫治療ができるクリニックに予約をします。舌下免疫治療ができるクリニックは全国でもあまり多くなく、ほとんどのクリニックで完全予約制となっています。
クリニックに行ったら、まずスギ花粉のアレルギーがあるか血液検査をします。検査の結果が出るまで1週間ほどかかります。
その後、スギ花粉のアレルギーがあることが確認できてから、舌下免疫治療が開始されます。
舌に治療薬(シダトレン)を投与する方法を、クリニックで先生に教わります。
このシダトレンという治療薬は、花粉を溶かしている液に、グリセリンがはいっていますので、少し甘く、また少し酸味があります。
シダトレンを、舌の下に保持したまま約2分間我慢して、そのあと飲み込みます。
2回目以降の舌下免疫治療は、自宅でできます。毎日、舌下免疫治療をします。
治療を開始して2週間は、薬の量を少しづつ増やしていき、3週目からは決められた量になります。
自宅での舌下免疫治療は、
- 舌の下にパンくずを置きます。
- パンくずに花粉エキスを垂らします。
- 舌の下にパンくずを置いたまま2分待ちます。
- 2分たったらパンくずを飲み込みます。
このようにやります。
多少方法は、クリニックの先生によって違うようですが、基本的には一緒です。これを、毎日やり続けます。
まずは1年続けて、効果があるかクリニックで検査をします。
そこである程度、舌下免疫治療の効果がある人は、このまま数年、治療を続けていきます。
舌下免疫治療の副作用
舌下免疫治療は、スギ花粉にアレルギーがある人に、スギ花粉を抽出した薬を投与する治療ですから、理論的には、強いアレルギー反応が起こる可能性があります。(※これをアナフィラキシーと言います。)
ただし、これまでの海外での実績で重篤な副反応はきわめて稀とされていますし、自宅でできる治療として保険も適用されているので、そこまで心配する必要はないでしょう。
舌下免疫治療で報告されている副作用
- 嘔吐、腹痛、下痢などの腹部の異変
- 口内、口唇のかゆみなどの感覚の異変
- じんましん
- ぜんそくの発作
- 耳のかゆみ
- 喉の炎症や違和感
- くしゃみ、鼻みず、鼻詰まり、目のかゆみなどの花粉症アレルギー
口の中や、舌の下が多少腫れるという副作用があることが報告されていますが、会話ができなくなるようなものではありませんから、ほとんど心配ありません。
とはいえ、副作用が全くないというわけではないので、もし異常があった場合は、治療薬の投与をストップし、先生に相談して判断を仰いでください。
舌下免疫治療のデメリット
舌下免疫治療の最大のデメリットは、効果があるかわかるまで時間がかかるということです。せっかく長期間の治療をしたのに効果が少なかったということも実際にあるようです。
舌下免疫治療の前に、効果がある程度予測できれば良いのですが、残念ながら現時点では予測ができないようです。
舌下免疫治療は、80%以上の人に効果があると言われていますが、逆に10%前後の人には、期待していた効果がないということになります。
また舌下免疫治療は、毎日の治療薬の投与と、定期的な通院が必要というのも、根気が必要です。
治療開始後の数回はクリニックに通院し、副作用が無いか確認しながら治療を進めます。
治療薬(シダトレン)は、薬局やネットでは手に入らず、処方される量も決まっているので、毎月通院が必要ですし、毎日、投与するのも根気が必要なので、デメリットと言えるでしょう。
また、舌下免疫治療は朝にやることを先生からすすめれることが多いですが、夜でも構いません。ただし舌下免疫治療の前後2時間程度は、アルコールの摂取と入浴を控えなければなりません。
舌下免疫治療を開始する時期とは?
舌下免疫治療を開始する時期は、スギ花粉の飛散が始まる3ヶ月以上前から治療を開始すると効果的です。
治療開始は6月から11月中旬までが理想的で、ほとんどの舌下免疫治療ができるクリニックでも、遅くとも12月末までに治療を開始しないと、翌年の6月以降に治療を開始するように言われます。
つまり、1月から5月は舌下免疫治療を開始できないと考えてください。
これは、安全に治療を行なうために、舌下免疫治療ができるクリニックで決められているようです。注意してください。
舌下免疫治療の費用について
舌下免疫治療の費用は、初診時に初診料とアレルギー検査(血液検査など)で5000円~6000円前後の費用が必要です。
その後、舌下免疫治療ができることになってから、毎月の通院と治療薬で、1ヵ月あたり2,000~3,000円程度の費用が必要です。(※保険適用で3割負担の場合)
舌下免疫治療は、スギ花粉の飛散時期だけでなく、1年を通じて治療が必要なので、毎月ほぼ同額の治療費となります。
ただし、年に1度効果を計測するために、検査をする際は、検査費用で3000円~5000円前後の費用が必要になることがあります。
つまり舌下免疫治療の費用は、保険適用で年間35,000円前後を考えておきましょう。
日本国内で保険適応となっているのは、現時点ではスギ花粉のみで、スギ花粉以外のアレルギーには効果がありません。
舌下免疫治療をした人の口コミ
花粉症の舌下免疫治療についての口コミを集めました。要約して紹介します。
まだ開始したばかりですが、治療薬を口に入れて2分待つのは結構大変です。そしてこれを毎日やるのかと思うと、ちょっと続けていく自信がありません。
これで効果がなかったら、ちょっと落ち込みそうですが、花粉症の完治を目指してがんばります。
まだ効果としてはわかりません。わたしは花粉症の症状が小さい頃からひどかったので、少しでも良くなるなら保険適用外でもやりたいと思っています。
花粉症の舌下免疫治療の評判は、まだあまりありません。
やはり即効性がある治療ではないということと、2014年に保険適用になったばかりで、全国的に舌下免疫治療ができるクリニックもまだ多くないので、効果を実感する口コミなどは、もう少し時間が必要かもしれません。
ただ舌下免疫治療は、根気が必要ということはわかりますね。
花粉症の治療は専門のクリニックで
花粉症の舌下免疫治療ができるクリニックを50以上紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
花粉シーズン直前の12月~3月は混雑しています。
クリニックによっては2月~3月はまったく予約が取れないこともありますので、電話で問い合わせてみてください。
開始直後は、鼻水がダラダラでてビックリしました。あと毎日やることがシンドくなって、やらない日もありました。
10月から治療開始して、4月の花粉シーズンは、少し効果はあったような気がしますが、やはり花粉症の薬はまだ手放せません。