認知症の周辺症状(BPSD)の薬物治療について

認知症_薬物治療

認知症には、誰にでも症状があらわれる中核症状と、人によって症状が違う周辺症状があります。

周辺症状は、周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状で、症状のあらわれ方に個人差があるというのが特徴です。

今回は、認知症の周辺症状(BPSD)の薬物治療についてまとめました。

認知症の周辺症状とは?

認知症

認知症の患者のほとんどにあらわれる症状を『認知症の中核症状』と表現しますが、

認知症の患者によってあらわれ方が違い、周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状を、認知症の周辺症状と表現します。

また、認知症の周辺症状は、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理障害)と略されることがあります。

認知症の周辺症状の、具体的な例は、徘徊、物盗られ妄想、幻覚や錯覚、暴言や暴力、失禁や弄便などです。

徘徊(はいかい)

介護者なしで外出してしまい、自分がどこにいるのかもわからなくなって帰ることができなくなり、さまようことになってしまい、行方不明になってしまうこともあります。

交通事故や転倒転落などで最悪志望してしまうこともあります。徘徊には理由があります。「なぜその場所に行きたいのか?」を否定することなく聞いてあげて、その場所が近ければ一緒に行くなどしましょう。

物盗られ妄想

財布などの貴重品の置き場所を忘れてしまい、介護ヘルパーさんなどに盗まれたと信じきってしまう症状です。

認知症の周辺症状の代表的な妄想の症状で、信頼関係が薄い介護ヘルパーさんが標的になったり、症状がひどくなると家族が標的になることがあります。

間違いを指摘すると興奮してひどくなってしまう場合が多いので、じっくり話を聞いてあげて、辛抱強く対応する事が大切です。

幻覚や錯覚

実際にはないのに、認知症患者には見えていたり聞こえていたりする症状です。部屋に知らない人がいる、ベッドに電流が流れている、窓から毒ガスが入ってくるといったようなことを言い出します。

夜の就寝時に引き起こされることが多いのが特徴です。認知症患者の本人には見えたり聞こえていたりするので、頭ごなしに否定すると逆に不安になったりし混乱します。一緒に不安を取り除いてあげる姿勢が必要です。

暴言や暴力

いままで穏やかで温厚だった人が、興奮して人が変わったように暴言や暴力をしてしまう症状です。少しでも不満や不安があると、一日中ずっと興奮がおさまらなく、暴言や暴力をしてしまうことがあり、家庭崩壊などの悲惨な状況を引き起こす可能性があります。

興奮にはいろいろな種類があるので、見極める必要がありますので、専門医に相談して、介護者を変えてみるなど対処しましょう。

失禁や弄便(ろうべん)

トイレの場所がわからなくなったり、トイレの感覚がコントロールできなくなって失禁するようになります。

また失禁したことの不快感を介護者に伝えることができず、自らオムツをはずして、大便をつかんだりし、自分の身体や、ベットなどいたるところに擦り付けたりするという「弄便」という行為もすることがあります。

認知症の周辺症状の薬物治療

治療

2017年時点で、認知症の周辺症状に使われる薬物治療は、以下が代表的なものです。

メマリー(処方薬)

メマリーは認知症の新しい薬で、認知症の周辺症状に効果が期待されている治療薬です。専門医が処方してくれます。

ただし眠気がひどくなったり、めまいや立ちくらみ、歩行困難などの副作用があります。

服用する際に、医師としっかり相談して、しっかり経過観察するようにしましょう。

抑肝散(漢方薬)

抑肝散は、神経の高ぶりを沈める漢方薬です。興奮の状態を抑えながら、意欲は向上するといったバランスの良い状態に保ってくれます。

副作用は少ないですが、稀に血圧上昇などの症状があらわれることがあるので注意が必要です。

抑肝散は医師の処方で出してもらうと保険適用になるので安くなります。専門医に相談して処方してもらいましょう。

抑肝散加陳皮半夏(漢方薬)

抑肝散加陳皮半夏は、神経の高ぶりを沈める漢方薬です。

高齢で神経症状が強く、嘔吐といった消化器症状を伴う症例には良いとされています。認知症の周辺症状によく効くといわれていますが、誰にでも効くとは限りません。

認知症の治療薬と同様で、効果や副作用には個人差がありますから、専門医に相談はしましょう。

認知症の周辺症状の薬物治療まとめ

認知症の周辺症状(BPSD)は、個人差がある難しい病気です。

周辺症状(BPSD)は、症状が様々なので、専門医と相談しながら対処が必要です。

ただ、薬物治療だけでなく、看護治療もとても大切です。

認知症患者の立場を尊重してあげて辛抱強く話を聞いてあげたり、相手をしてあげることが大事です。

認知症の周辺症状に効果が期待できる治療薬が開発されたり、副作用が少ない漢方薬もいくつかあるようです。

それぞれの体質や状況によって、期待できる効果も違うと思いますので、専門医と相談しながら対処してください。

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2016年3月9日
認知症_薬物治療
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