認知症が増えています。認知症とはどのような種類があるのでしょうか?アルツハイマー以外にどういう症状があるのでしょうか?
今回は厚生労働省が2015年に発表した、認知症患者が2025年に700万人を突破する見込みという内容も踏まえ認知症について紹介します。
認知症とは
かつては痴呆(ちほう)と呼ばれていましたが、2004年に厚生労働省により「認知症」へ言い換えが決まり、現在では高齢者介護分野や医学会でも「認知症」と呼ばれています。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。
認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがこの「変性疾患」にあたります。
続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。
引用元 厚生労働省
厚生労働省によれば、認知症とは上記のように定義しています。
認知症には大きく4つの種類に分けられます。もっとも多い脳が萎縮してしまうアルツハイマー型認知症、脳梗塞など脳内の血管が原因で脳内の細胞が傷つき引き起こされる脳血管型認知症、パーキンソン症状を伴うレビー小体型認知症、性格変化を伴う前頭側頭型認知症の4タイプがあります。
アルツハイマー型認知症が全体の約60%を占めています。
認知症の4種類
認知症の約60%はアルツハイマー型認知症で、約20%は脳血管型認知症によるものとされています。
一般的に認知症とはアルツハイマー認知症と認識している人が多いですが、アルツハイマー認知症以外の認知症についても、しっかりと理解することが大切です。
1. アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドベータというたんぱく質がたまり正常な神経細胞が壊れ、脳萎縮がおこることが原因だと言われています。
しかしアミロイドベータが蓄積する原因については明確なことは分かっていません。記憶障害から始まる場合が多く、気候に合った服が選べない、薬の管理ができないなどの症状があります。
アルツハイマー型認知症の発症には、これまで加齢や遺伝が関係するということは明らかになっていましたが、それに加えて近年の研究結果により、糖尿病や高血圧などの人は、そうでない人よりも、アルツハイマー型認知症になりやすいことが科学的に証明されました。
そのため予防には生活習慣の改善が重要であるとされています。
2. 脳血管型認知症
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害によって起こる認知症です。アルツハイマー認知症に次いで多く、認知症の約20%と言われています。
記憶障害や言語障害などが現れやすく、アルツハイマー認知症と比べると、早い段階から歩行障害が起こりやすいと言われています。
脳血管性認知症の原因となる血管障害は、生活習慣病が原因で引き起こされます。つまり生活習慣の改善が予防に繋がります。
また脳血管障害を早期に治療してることができれば、脳血管性認知症の症状の進行を抑えることもできるので早期治療が重要です。
3. レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、レビー小体というたんぱく質が、脳にたまることで起こる脳の萎縮が原因だと言われています。
認知症を伴うパーキンソン病と言われる症状は、実はこのレビー小体型認知症だということも最近分かってきました。
パーキンソン症状とは、幻視や筋肉のこわばりなどを伴う病気です。レビー小体という異常なたんぱく質がたまる原因やパーキンソン症状が引き起こされる原因など、まだ解明されていないものが多くあります。
4. 前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、初老期に発症します。会話中に突然立ち去る、万引きをする、同じ行為を繰り返すなどの症状がみられ、性格変化と社交性の欠如が現れやすいと言われています。
原因はわかっていませんが、ピック球という異常構造物が神経細胞にたまる場合とTDP-43という蛋白がたまる場合が、いまのところ発見されています。
まだ詳しく解明されていないという状況です。
認知症の原因疾患
認知症を引き起こす原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。このように脳そのものが障害される疾患ばかりではなく、脳以外の身体疾患によっても認知症が引き起こされることがあります。
1. 神経変性疾患
アルツハイマー型認知症、ピック病、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、脊髄小脳変性症、皮質基底核変性症など
2. 脳血管障害
脳梗塞、脳出血など
3. 頭部外傷
脳挫傷、脳内出血、慢性硬膜下血腫など
4. 悪性腫瘍
脳腫瘍(原発性、転移性)、癌性髄膜炎など
5. 感染症
髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、進行麻痺、クロイツフェルト・ヤコブ病など
6. 代謝・栄養障害
ウェルニッケ脳症、ペラグラ脳症、ビタミンB12欠乏症、肝性脳症、電解質異常、脱水など
7. 内分泌疾患
甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、副腎皮質機能低下症など
8. 中毒性疾患
薬物中毒(向精神薬、ステロイドホルモン、抗癌剤)、アルコール、一酸化炭素中毒、金属中毒など
9. その他
正常圧水頭症、低酸素脳症など
認知症患者は2025年には2012年の約1.5倍に増加する見込み
厚生労働省の発表によれば、認知症の患者が2025年には700万人を超え、これは65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を患う可能性があると発表しました。
2012年では、日本国内で462万人が認知症を患っていると推計しており、2012年と比較すると約1.5倍も増えると見込まれています。
以上の結果からも、厚生労働省では、認知症対策を急ぐとしています。
認知症の約60%はアルツハイマー認知症ですが、ほかにも脳血管型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症と大きく4種類があるので理解しておきましょう。
またアルツハイマー認知症と脳血管型認知症で認知症の80%になりますが、科学的な研究結果によれば、生活習慣の改善が予防になるとも証明されています。
生活習慣の改善が認知症の予防になります。
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